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EmDash(エムダッシュ)とは?Cloudflare製CMSの特徴・WordPressとの違いを制作会社が解説

EmDash(エムダッシュ)とは?Cloudflare製CMSの特徴・WordPressとの違いを制作会社が解説

EmDash(エムダッシュ)は、Cloudflareが開発したオープンソースのCMS(ホームページを更新するためのシステム)です。Cloudflareは「WordPressの精神的な後継」と位置づけていて、2026年4月にプレビュー版、9月に正式版(1.0)が公開されました。WordPressと同じように管理画面から記事やページを更新できますが、PHPを一切使わず、Cloudflareのネットワーク上で動くのが大きな違いです。

名古屋でホームページの制作・保守をしている私たちライノテックは、2026年10月のPHPの脆弱性をきっかけに、EmDashのソースコード・ドキュメント・管理画面の日本語対応・実際の表示速度まで確認しました。この記事では、その結果をもとにEmDashとは何か、WordPressと何が違うのか、どんな人に向いているのかを、専門用語をなるべく使わずにまとめます。

3行でわかるEmDash

  • 何か:Cloudflare製の無料・オープンソースのCMS。WordPressと同じように、記事・固定ページ・画像・メニューを管理画面から更新できる
  • 何がいいか:PHPを使わないので、PHPやWordPressの脆弱性の影響を受けない。プラグインは1つずつ隔離されて動き、ログインはパスキーが標準
  • 注意点:正式版が出てまだ日が浅く、テーマや拡張機能は少ない。WordPressのプラグインやテーマはそのままでは使えない

※「エムダッシュ」は、英語の文章で使う長いダッシュ記号(—)の名前でもあります。この記事で扱うのは、記号ではなくCMSの「EmDash」です。

EmDash(エムダッシュ)とは

EmDashは、Cloudflareが「WordPressを今の技術で作り直したら」という考えで開発したCMSです。WordPressのコードは一切使っておらず、すべてTypeScriptで書かれています。ライセンスはMITで、無料で商用利用もできます。

項目内容
開発Cloudflare(オープンソースとしてGitHubで公開)
公開2026年4月1日にプレビュー版、2026年9月に正式版(1.0)
ライセンスMIT(無料・商用利用可)
技術TypeScript + Astro(Webサイトを作るためのフレームワーク)。PHPは使わない
動く場所Cloudflare Workers(データベースはD1、画像はR2)。Node.jsのサーバーとSQLiteでも動く
管理画面日本語に対応(当社で翻訳ファイルを確認)
ログインパスキーが標準(パスワード不要)。メールで届くリンクやOAuthも使える
実績Cloudflare公式ブログがEmDashで運用されている

EmDashでできること

結論から言うと、会社案内・お店・クリニック・士業のサイトで必要な更新作業は、ほぼWordPressと同じようにできます。

  • 記事・ページの更新:投稿、固定ページ、カテゴリ・タグ、メニュー、下書き、予約公開、変更履歴(リビジョン)
  • 独自の項目:「料金表」「症例」「スタッフ紹介」のような専用の入力欄を持つコレクション(WordPressのカスタム投稿にあたるもの)
  • 画像と検索:メディアライブラリ、サイト内の全文検索
  • サイト上で直接編集:公開中の画面を見ながら、その場で文章を直せる
  • お問い合わせフォーム:公式のフォーム用プラグインで、テキスト・メール・電話・日付・選択肢・ファイル添付・同意欄などを作れる。条件分岐や複数ページのフォームにも対応
  • 権限の管理:管理者・編集者・投稿者・寄稿者を分けられる
  • AIとの連携:REST API、コマンドライン(CLI)、MCPサーバーを最初から内蔵。AIのエージェントから記事を投稿・更新できる

一方で、フォームの「確認画面」は標準ではありません。日本のサイトでよくある「入力 → 確認 → 送信」の流れが必要な場合は、作り込みが必要です。

WordPressとの違い

いちばん大きな違いは、動く仕組みとプラグインの扱い方です。

WordPressEmDash
使っている言語PHPTypeScript(PHPは使わない)
動く場所レンタルサーバー(PHP+データベース)Cloudflareのネットワーク(世界中の拠点)
PHPの脆弱性影響を受ける。PHPと本体の更新が必要影響を受けない
プラグインサイト全体にアクセスできる。1つの不具合や脆弱性がサイト全体に及ぶ1つずつ隔離された環境で動く。使える機能や通信先を事前に宣言する
ログインIDとパスワード(乗っ取りの標的になりやすい)パスキーが標準
拡張機能・テーマ非常に多いまだ少ない
実績・情報量世界のサイトの4割以上で使われている正式版が出たばかり

Cloudflareは、WordPressのセキュリティ問題の大半がプラグインに由来すると説明しています。WordPressのプラグインはデータベースやファイルに広くアクセスできるため、1つの古いプラグインがサイト全体の弱点になります。EmDashはこの問題を、プラグインを1つずつ隔離し、許可した機能だけを使わせる設計で解決しようとしています。

なお、2026年10月に公表されたPHP本体の脆弱性は、WordPressを最新にしても防げない種類のものでした。PHPを使わないEmDashは、こうした問題の影響をそもそも受けません。詳しい経緯はWordPressからEmDashへ移行すべき?制作会社が比較した4つの選択肢と結論にまとめています。

実際に計測:EmDashのサイトは速いのか

EmDashで運用されているCloudflare公式ブログと、WordPressで運用している当社サイトの応答の速さを、2026年10月23日に日本から計測しました(サーバーが応答を返し始めるまでの時間、3回計測)。

サイト1回目2回目3回目
Cloudflare公式ブログ(EmDash)0.13秒0.06秒0.07秒
Cloudflare公式ブログの記事(EmDash)0.06秒0.06秒0.06秒
rhinotech.jp トップ(WordPress)0.30秒0.08秒0.08秒
rhinotech.jp ブログ(WordPress)0.10秒0.08秒0.08秒

どちらも十分に速く、体感で差が出るほどではありません。ただ、EmDashは世界中の拠点からキャッシュを返すため、アクセスが集中しても遅くなりにくいのが強みです。一方で、データベース(D1)をアジア太平洋に置かないと、日本からのアクセスで遅くなる点は、構築するときの注意点です。

EmDashの費用

EmDash本体は無料です。かかるのは、動かす場所(Cloudflare)の利用料です。

  • Cloudflare Workersの有料プランが前提:無料プランは1回の処理に使える時間の上限が厳しく、実用には有料プラン(月5ドル〜)が必要です
  • プラグインの隔離機能も有料アカウントが必要:プラグインを隔離して動かす仕組み(Dynamic Workers)は、有料アカウントでしか使えません
  • アクセスが少ないサイトなら安い:使った分だけの課金なので、一般的な会社のサイトであれば、レンタルサーバーより安く収まることが多いです

制作会社に依頼する場合は、Cloudflareの契約や設定を含めて任せられるかを確認するとよいでしょう。

EmDashの弱点・注意点

良いことばかりではありません。制作会社として、次の点は正直にお伝えしています。

  1. WordPressのプラグインやテーマは、そのままでは使えない。ネットショップ、会員制サイト、予約システムなど、特定のプラグインに頼っているサイトは、すぐには移れません
  2. テーマや拡張機能がまだ少ない。EmDash向けのAstroテーマや最初のネットショップ用プラグインは出てきていますが、WordPressとは比べものになりません
  3. 正式版が出て日が浅い。仕様の変更がまだ多く、長期の運用実績はこれからです
  4. Cloudflareへの依存。Node.jsでも動きますが、隔離されたプラグインなどの強みはCloudflare上で使う前提です
  5. 管理画面の操作は変わる。日本語に対応していて基本の操作はWordPressに近いですが、慣れるまでは少し戸惑うかもしれません

WordPressからEmDashへ移行するには

EmDashには、WordPressからの移行の仕組みが最初から用意されています。WordPressの書き出しファイル(WXR)、REST API、専用の移行プラグインを使って、次の内容を取り込めます。

  • 投稿・固定ページ・画像
  • カテゴリ・タグ
  • メニュー
  • カスタムフィールド(ACF)
  • SEOの設定

ただし、実際の移行ではCMSの中身より、まわりの準備のほうが大事です。特に次の3つは事前に確認が必要です。

  • URL:今のURLを引き継ぐか、変わるページに転送(301リダイレクト)を設定する
  • お問い合わせフォーム:WordPressのフォームプラグインは使えないので作り直す。自動返信メールの送り方も決める
  • ドメインとメール:ホームページの向き先を切り替えるとき、メールの設定(MXレコード)が影響を受けないかを確認する

EmDashが向いている人・まだWordPressが向いている人

EmDashが向いているまだWordPressが向いている
サイトの種類会社案内・店舗・クリニック・士業・採用サイトネットショップ・会員制サイト・予約システム
更新のしかたお知らせ・ブログ・料金表などを更新するページビルダーで自由にレイアウトを作っている
困っていることWordPressの更新やセキュリティが不安。保守の手間を減らしたい特定のプラグインがないと業務が回らない

まだWordPressが向いているサイトでも、WordPressを裏側に隠し、一般の人のアクセスがPHPに届かない構成(ヘッドレスWordPress)にすることで、守りを固める方法があります。

よくある質問

EmDashは無料で使えますか?

EmDash本体はMITライセンスのオープンソースで、無料です。動かすためのCloudflareの利用料(Workersの有料プランは月5ドル〜)がかかります。

EmDashの管理画面は日本語ですか?

はい。日本語の翻訳が用意されていて、管理画面を日本語で使えます。

WordPressのテーマやプラグインは使えますか?

そのままでは使えません。デザインはAstroで作り直し、必要な機能はEmDashのプラグインで用意します。

EmDashは本番のサイトで使えますか?

2026年9月に正式版(1.0)が公開され、Cloudflare公式ブログも運用されています。ただし実績はまだ少ないので、まずは会社案内のような小さめのサイトや、自社のサイトで試すのがおすすめです。

エムダッシュ(—)とは関係ありますか?

名前は同じですが、別物です。記号のエムダッシュ(—)は英語の文章で使う長いダッシュで、この記事のEmDashはCloudflareのCMSの名前です。

EmDashでのホームページ制作・WordPressからの移行はライノテックへ

名古屋のAI×Web開発会社ライノテックでは、EmDashでの新規制作、WordPressからの移行(15ページまで10万円・税別)、公開後の保守(月7,800円・税別)までお任せいただけます。当社のオフィシャルサイトもEmDashへ移行します。

料金・移行の流れ・向き不向きはEmDash(エムダッシュ)制作・WordPress移行のページをご覧ください。「うちのサイトは移行できる?」という段階でも、お気軽にご相談ください。

参考