火曜の15時、経理の田中さんは新しく入ったスタッフを社内システムに登録しようとしている。「ユーザー追加」の画面がどこにあるか分からない。以前も同じことで10分迷った気がする。
こういうとき、もうヘルプサイトを開かない人が増えている。代わりにChatGPTのウィンドウを開いて、こう打つ。
ChatGPTに聞くと、2分で終わる
田中:新しいスタッフを追加したいんだけど、どこ?
ChatGPT:「設定」→「ユーザー管理」を開いてみてください。
設定を開く。ユーザー管理らしきメニューが見当たらない。田中さんは今の画面をそのままスクリーンショットで撮って送る。
ChatGPT:この画面ですと、右上の「メンバー」タブがユーザー管理にあたります。そこを開いて「招待」を押してください。
言われた通りに押す。招待画面が開く。メールアドレスを入れて、権限を選んで、送信。2分もかかっていない。
ヘルプサイトで探すと、10分以上迷う
これがヘルプサイトだったら、どうなっていただろうか。
検索窓に「ユーザー追加」と打つ。ヒットするのは「メンバー招待について」という記事。タイトルが違うから最初は見つからない。
ようやく記事を開くと、載っているスクリーンショットは半年前のバージョンのもの。ボタンの位置が違う。手順の途中で迷子になり、結局は同僚に「これどこだっけ」とチャットで聞くことになる。
同じ質問なのに、早さも確実さもまるで違う。
差はAIの賢さじゃない。早くて確実なのは「聞き方」のせいだ
ChatGPTが特別に優秀な答えを持っているわけではない。実際、多くのヘルプサイトの中の情報とそう変わらないことを言っている。違うのは次の3つだけだ。
ひとつ目、言葉をそのまま受け止めてくれる。「ユーザー追加」でも「スタッフ登録」でも「田中さんを増やしたい」でも、意図さえ合っていれば答えにたどり着ける。検索ワードを正解させるゲームをしなくていい。
ふたつ目、会話が続く。1回で終わらず「それをやったらエラーが出た」「うちのプランだとボタンがない」と、同じ流れの中で詰めていける。
みっつ目、今の画面を見て答えてくれる。スクリーンショットを送れば、「一般的な手順」ではなく「今あなたが見ている画面での手順」を返してくれる。これが一番大きい。
逆に言えば、ヘルプサイトが不便に感じられる理由もこの裏返しでしかない。検索ワードを当てさせ、記事を1本読み切らせ、画面との照合をユーザー任せにしている。情報の中身ではなく、届け方の設計が古いだけだ。
自社のヘルプサイトでも、同じ「早くて確実」は作れるのか
ここまで読むと「うちにもAIチャットを入れれば同じ体験になるはず」と思うかもしれない。ただ、既存のマニュアルをAIに丸ごと読み込ませただけのチャットボットでは、この体験の3つ目——「今の画面を見て答える」——がどうしても弱い。
理由は単純で、通常のマニュアルには「文章」と「見出し」しかないからだ。今どの画面にいるか、ボタンがどこにあるか、操作した後どう変わるかといった情報は、人間が記事を読んで頭の中で補っている。AIに同じことをさせるには、その補っている部分ごとデータとして持たせる必要がある。
マニュアル・ヘルプサイトを構築するときに必要な3つのデータ
これから自社サービスや社内システムのマニュアルを作成・構築するなら、記事を書くのとは別に、次の3つを最初から持っておく設計にしておきたい。問い合わせ対応の負担を減らす一番の近道でもある。
①操作の記録——どの画面で、何を押すと、次にどうなるか、という一連の流れ。
②画面そのものの情報——スクリーンショットに加えて、URLやボタンの名前、周辺のテキストといった構造。
③実際の質問の蓄積——ユーザーがどんな言葉で何を聞いてきたか。
これを人力で維持し続けるのは現実的ではない。理想は、誰かが普段どおりに操作したその記録から、人間が読むマニュアルと、AIが使うためのデータが同時にできあがることだ。
ManualClipは、ブラウザ操作を記録するだけでマニュアルサイトを自動生成するサービスとして開発を進めている。
操作を記録する仕組みがすでにあるからこそ、その先の「AIが画面を理解して案内する」体験にも自然に発展させられると考えている。田中さんが画面を見せるだけで答えが返ってくる、あの体験を自社サービスの中に持ち込みたい方は、リリースに先立って相談を受け付けている。
よくある質問
AIでマニュアルサイトは作れるか
作れる。ブラウザ操作を記録するだけでマニュアルサイトを自動生成するサービスがすでに登場している。ManualClipはその一つで、画面操作を記録するとキャプチャ付きの手順書が自動で組み立てられ、検索できるヘルプサイトとして公開できる。スクリーンショットを撮って文章を書くという手作業は必要ない。
ヘルプサイトを検索するより、ChatGPTに聞いた方が早いのはなぜか
理由は3つ。検索ワードを考えなくていいこと、会話として文脈を積み上げられること、画面キャプチャを見せれば今の状態を理解した上で答えてくれること。ヘルプサイトの検索は「記事の見出しに使われている言葉」と「ユーザーが打ち込む言葉」が一致しないと見つからない設計になっていることが多い。
マニュアル作成を自動化するにはどうすればいいか
記事を書いてからスクリーンショットを貼る、という順番を逆にするのが早い。操作を記録した時点で、人間向けの手順書とAIが使うための画面データを同時に生成する仕組みを使えば、運用の手間を増やさずに済む。
まとめ
ヘルプサイトで手順を探すより、ChatGPTに画面を見せて聞いた方が、早いし、確実に教えてくれる。この変化は、AIが賢くなったからというより、聞き方そのものが変わったから起きている。検索ワードを当てなくていい、会話が続く、今の画面を見て答えてくれる。この3つを自社のヘルプ体験にも持ち込めるかどうかが、次の差になっていきそうだ。